東京朝顔研究会 第一回大輪朝顔講習会(要旨)
私が考える朝顔栽培について大事なこと
- 良い種の入手
- 研究会から
- 花友から
- 自家受粉から
良い花からの種
- 栽培環境
- 陽当たり
- 風通し
- 栽培台高さ
- 栽培管理
- 計画を立てて記録すること
- 水遣りと施肥
- 虫と病気から苗を守ること
- 朝顔知識・栽培知識の学習
- 参考資料等
- 初心者のための大輪朝顔鉢作りの手引き
- 朝顔百科
- 色分け花図鑑朝顔
- 東京朝顔研究会会報
- 東京朝顔研究会ホームページ
- 栽培講習会 年二回
- 超大輪朝顔展の見学又は出品
- 学ぶことは真似ることから始まる。上達するために真似ることは決して恥ではない。
切込み作りのあるべき理想の形
切込み作りでは葉小花大を理想とし、香炉鉢を使って盆栽のように切込み仕立てる。
花は鉢の内側で大きく勢いよく美しく円満に咲き、緑色の葉の小ささや黒優香炉鉢の黒さと相まって、バランスの取れたその姿形その草姿が良い。
会報やホームページに掲載されている受賞作品の写真を模範として、切込み作りのあるべき理想の姿を追求してください。
朝顔栽培の作業スケジュール表を作ろう
種まきの時期 本葉の枚数 水遣り液肥の分量 殺虫剤や殺菌剤散布の時期 小鉢上げ時期 本鉢定植時期 子蔓伸び始めの時期 蕾の出始め時期 肥料打ち切りの時期 仮摘芯と本摘芯の時期 肥吸葉切除 講習会や打ち合わせ会日 搬入日や展示会開催期間など
予め計画に立てておくと安心。切込み作りの全体像を掴んでおく。
苗の成長過程や水遣り・施肥の分量記録は立派な栽培日記になる。
反省の材料にもなるし、次の年の朝顔栽培のために経験したことが役立つ。
培養土 自作培養土のつくり方
培養土は水はけが良い上に、ある程度水持ちの良さが大事と考える。
切込み小鉢用
- 腐葉土3 赤玉土(小粒)3 軽石(小粒)3 もみ殻くん炭1の割合
- 化成20g 熔リン40g 過リン酸石灰15g 硫酸加里10g マグアンプK10g
- 培養土20リットルあたりの量を元肥として入れた。
- リン酸は赤玉土に吸収されやすいので、リン酸質肥料は先に腐葉土とまぶした。
切込み本鉢用
用土材料や割合が手引書と違うのは、私の地上栽培や風通し、日照時間という環境の違いからです。
培養土はよくかき混ぜ、ジョーロ等で水をかけ湿らせ土嚢袋に入れ作り置きしておく。
種播きの前に大事な芽切り
堅い種の背中部分に傷を入れ水分を吸収させ、発芽を促し、小鉢上げ時期を揃えさせる。
道具 種 丸棒やすり ホビーノコ 傷絆創膏 水を入れたコップ 花銘札
- 種子の種類の数のコップを用意する。
- コップに水と花銘札を入れる。
- 親指と人差し指に絆創膏を巻く。
- 朝顔の種を親指と人差し指にはさみ、棒やすりでこする。
- 種の背中に白いこすり跡が出てきたら、1〜2時間コップに種を間違いないように入れる。
会報67号 50頁参照
種蒔き 5月28日柄物 31日無地 (目安として)
- 底に穴を空けた発泡スチロール箱に蒔き土(川砂100%、川砂70〜80%:バーミキュライト30〜20%、種播きと挿し芽の土など)をいれる。
- 蒔き土に熱湯をかけ、40℃以下に下がってきたら5cm間隔で深さ1.8cmの蒔き穴を空けて、芽切りした朝顔の種を埋め、穴の上から蒔き土をかぶせる。
- その際、花銘札を間違いないように挿すこと。温度計を差しておくと良い。発芽温度は25℃から28℃くらいが適温とされている。
- 発泡スチロールの蒔き箱を新聞紙や毛布でくるみ保温する。
- 土の表面が地割れしてきたら日光の当たる場所に出す。
- 蒔き箱を移動するときは慎重に、箱を落とさないように、土表面に割れ目やゆがみを作らないように注意する。
- 種まき後4日前後で双葉が開き小鉢上げができる状態になる。
小鉢上げ 5月31日〜柄物 6月3日〜無地
- 最適な苗
- 双葉が軍配の形で
- 軸が太い苗
- 双葉が開ききらない合掌状態の苗
- 準備するもの
- 3号駄温鉢又はポリポット
- 鉢底ネット
- 鉢底石(小粒)
- 鉢土
- 花銘札
- プラスチック製フォーク
- メネデール
- 作業場所
- 手順
- 駄温鉢の底穴をネットでふさぎ、軽石(小粒)を1.5cmくらい敷き、小鉢用土を7分目くらい入れる。土を熱湯消毒し冷めたら、苗が移植しやすいように植え穴を空ける。
- 蒔き箱の双葉苗をプラスチック製フォークで苗の両側に優しく差し込み持ち上げる。
- 土がついたまま鉢の植え穴に速やかに、しかも優しく上入れる。根の根毛は弱い。
- 根が長いときは爪でカットしたりL字形に植える。花銘札を間違いないように挿す。
- 大事なことは双葉の位置が鉢の高さを超えないこと。強い風で苗が飛ばされたり苗に傷がつかないように守るためです。軸も太く長さも形も良くなる。
- ジョーロで微温湯をたっぷりとかけて日陰に置き、しばらく落ち着かせる。
- 夕方、小鉢上げした苗にメネデール200倍希釈液を40ml撒き発根を促す。
- これより日当たりの良い屋外で栽培台の上での栽培となる。
- 小鉢上げの時には、苗にメネデール液と鉢土の上にオルトラン粒剤と固形肥料小粒と熔リンを与えることは一連の大事な作業です。根の発根促進、アブラムシ対策、補助肥料として使う。
小鉢期栽培
- 小鉢期の最大の目的は根を充実させることで、いかに根を多く生やすか大事な時期です。それには少なめの水と薄めの液肥で抑制栽培をすることです。
- 自分で作成した作業スケジュールに沿って水遣り、施肥、防虫、手入れをして、徒長をなるべく抑えた苗を作る。
- 水遣りと液肥
- 柄物と無地では小鉢上げの時期が違うので、しばらくの間は水遣りや施肥は別メニューで細かく管理する。
- 水遣りには50mlのスポイトを使って微温湯やお風呂の残り湯をかけてやる。
- 液肥は原液を必ず微温湯で薄めて作り、水遣りの分量については微温湯も液肥も、小鉢期初期には多くても30ml、小鉢期後期には多くても60mlでよい。
- 撒く分量は晴れの日が10割なら曇りの日は5割の量のつもりで撒く。
- 撒くときは50mlのスポイトで苗の周りを、円を描くように撒く。
- 葉や葉柄に水がかかると葉が大きくなったり葉柄が伸びすぎるのでかからないように注意する。
- 本葉が一枚増えたら液肥を微温湯で薄めて根元にかける程度の回数で良い。
- 液肥を薄める前は必ずボトルをよく振ること(有機液肥の場合、上は上澄み、固形成分が底に沈んでいることがあるため)。
- アブラムシやハダニ類から苗を守る。
- 殺虫剤等の散布は夕方がよい。
- 鉢回しをして根の偏りを防ぎ、根が四方に生えてくるように一週間に一度は90°(東西南北に)鉢を回す。
- その他気づいたこと
- 木製花銘札を小鉢に挿しておくと、夕方時の鉢土の水分量がある程度わかる。
- 24穴連結トレーを使って鉢を入れておくと移動も楽。苗の葉が大きくなったときは間隔を置いて鉢を置けば、葉に日当たりと風通しが良くなる。
- 鉢の土に雑草が生えていたら抜き取る。草に肥料を取られるのはもったいない。
- 雹やあられ、台風や嵐には注意して鉢を避難させる。天気予報番組を見ることは大事です。
- 朝顔は強い植物、ちょっとやそっとでは枯れない。
- 葉は小さく、茎はやや細めな、見た目にはむしろ貧弱な苗でも後日かえって立派な切込み作りに仕上がるもの。
本鉢定植の最適時期
6月25日から6月末日で、本葉が6〜7枚になったら本鉢定植の最適時期です。
参考 希釈倍率
液肥・防除薬剤等の希釈倍率に対応する
原液必要量の早見表
最終(必要)容量 |
1,000ml (1L) |
2,000ml (2L) |
5,000ml (5L) |
2,000倍 |
0.5ml |
1ml |
2.5ml |
1,500倍 |
0.67ml |
1.3ml |
3.3ml |
1,000倍 |
1ml |
2ml |
5ml |
750倍 |
1.3ml |
2.6ml |
6.6ml |
500倍 |
2ml |
4ml |
10ml |
200倍 |
5ml |
10ml |
25ml |
平成30年盆養切込み作り(小蔓作り)作業記録
月 |
日 |
気温(高/低) |
気象 |
苗の様子 |
作業内容 |
肥料・消毒、液肥 |
水・液肥量(ml)/鉢 |
備考 |
5 |
28 |
25.4/19.1 |
曇のち晴 |
|
柄物40粒種蒔 |
熱湯消毒 |
|
|
29 |
27.3/19.4 |
曇のち晴 |
|
|
|
|
|
30 |
25.5/15.7 |
曇夜雨 |
双葉 |
無地覆輪40粒種蒔 柄物12鉢小鉢上 |
熱湯消毒 オルトラン1g 熔りん1g 固形肥料(小粒)2個 マグアンプK1g |
メネデール 200倍50ml |
31 |
21.5/16.2 |
曇 |
双葉 |
柄物11鉢小鉢上 |
上に同じ |
小鉢上げした苗には2〜3日水不要 鉢土が乾いているときは水を注す |
6 |
1 |
26.7/17.6 |
晴 |
双葉 |
無地覆輪5鉢小鉢上 |
上に同じ |
2 |
26.0/17.1 |
晴 |
双葉 |
無地覆輪9鉢小鉢上 |
上に同じ |
微温湯20ml |
上に同じ |
3 |
27.5/15.4 |
晴 |
双葉 |
柄物12鉢小鉢上 |
上に同じ |
微温湯30ml |
上に同じ |
4 |
28.1/16.7 |
晴 |
双葉 |
柄物5鉢小鉢上 |
上に同じ |
微温湯30ml |
上に同じ |
5 |
27.3/16.4 |
曇 |
|
根回し |
|
微温湯30ml |
|
6 |
21.5/18.0 |
雨 梅雨入 |
本葉1枚 |
|
|
|
|
7 |
28.2/18.1 |
晴 |
|
無地覆輪2鉢小鉢上 |
上に同じ |
|
|
8 |
28.2/18.1 |
晴 |
|
|
|
微温湯30ml |
|
9 |
32.2/21.4 |
曇のち晴 |
本葉0.5〜1.5枚 |
42鉢に選抜 根回し |
|
スーパーワン30ml (以降SP1と記す) |
2,000倍微温湯で希釈 |
10 |
22.6/19.4 |
曇のち雨 |
|
|
|
微温湯20ml |
|
11 |
21.8/18.7 |
雨 台風5号 |
|
|
|
|
|
12 |
28.2/18.0 |
曇のち晴 |
|
|
|
|
|
13 |
26.5/18.2 |
曇時々晴 |
本葉1〜2枚 |
|
ハイポネックス原液 (以降ハイポ(青)と記す) |
30ml |
2,000倍微温湯で希釈 |
14 |
24.6/18.6 |
曇時々晴 |
|
|
テルスター |
微温湯20ml |
殺虫剤スプレー |
15 |
21.5/16.0 |
曇のち雨 |
|
根回し |
|
|
|
16 |
17.5/14.4 |
雨のち曇 |
本葉1.5〜3枚 |
|
ハイポ(青) |
30ml |
2,000倍微温湯で希釈 |
17 |
22.8/14.4 |
曇のち晴 |
|
|
|
|
|
18 |
22.7/16.7 |
曇 |
本葉2〜4枚 |
|
ハイポネックス ハイグレード開花促進 (以降ハイポ(赤)と記す) |
30ml |
1,500倍微温湯で希釈 |
19 |
27.1/18.8 |
晴 |
|
根回し |
微粉ハイポネックス (以降ハイポ微粉と記す) |
30ml |
2g/10L 軸を太くする |
20 |
22.6/19.7 |
雨 |
本葉3〜5枚 |
|
|
|
|
21 |
23.8/18.3 |
雨 |
|
|
|
|
|
22 |
26.7/18.4 |
晴 |
|
鉢回し |
ハイポ(赤) |
30ml |
1,000倍微温湯で希釈 |
23 |
23.2/18.0 |
雨 |
|
|
|
|
|
24 |
26.3/18.1 |
曇のち晴 |
本葉3.5〜6枚 |
|
ハイポ(青) |
60ml |
1,000倍微温湯で希釈 |
25 |
31.2/20.1 |
晴 |
|
殺虫剤散布 |
微温湯 ハチハチ乳剤 |
30ml+20ml |
光化学スモッグ 1,000倍希釈 夕方 |
26 |
29.7/20.6 |
晴 |
|
|
ハイポ(赤) |
30ml+20ml |
500倍希釈 |
27 |
28.4/23.5 |
曇のち晴 |
本葉5〜7枚 |
13鉢本鉢定植 根回し |
オルトラン粒剤 固形肥料小粒2個 熔りん1g |
30ml+20ml |
メネデール 200倍100ml |
28 |
29.2/23.9 |
曇のち晴 |
本葉5〜7枚 |
17鉢本鉢定植 |
上に同じ |
30ml+20ml |
上に同じ |
29 |
30.5/23.9 |
晴 梅雨明 |
|
13鉢本鉢定植 |
上に同じ |
30ml+30ml |
上に同じ |
30 |
32.0/24.8 |
晴 |
|
|
ハイポ(青) |
100ml |
1,000倍希釈 |
芽切りから個別播種(ビニールポット)についての準備と資材
芽切り
個別播種について
- 播種の方法は、蒔き箱を使う方法とビニールポットに個別に蒔く方法があります。
- ここでは、6cmビニールポットに個別に蒔く方法を紹介します。
- 利点は、個別に播種するので発芽した状態で個別に管理できる事と小鉢上げの時に、ポットを逆さにすれば砂が落ちるので根を傷めずに小鉢上げが出来ます。
準備する物
-
発泡スチロール箱(内寸43cm×36cmで40〜50ポット播種出来ます)
- 6cmビニールポット
- 播種箱、セルトレイ、ポット、いずれのものでも構わない(それぞれの容器の特徴がある)。深さが8〜10cmあるとよい。水抜けがよいように、砂が落ちないように工夫しておく。
- 庫内に敷く
ペットシートと猫除けネット(ペットシートは箱に穴を開けないので余分な水を吸わせる為、ネットは逆さにして底上げに使います)
- 蒔き砂とバーミュキュライト(7対3の割合で砂は水洗いしバーミュキュライトは篩に掛けた微塵を使います)
- 蒔き砂の温度を測る温度計
- ピンセットと播種棒
-
花銘札(上蓋に当たるので長さに注意し、出来ればポットの数分準備します。発芽率100%を目指す心意気が大切です)
- はる使い捨てカイロ(発泡スチロールの上蓋外に5枚貼ると庫内の温度は25℃以上28℃以下になります)
(詳細は、「初心者のための大輪朝顔栽培の手引き」改訂版18〜19頁:以降、手引P.18〜19と記す)
芽切りについて
-
棒やすりカッター爪切り等使いやすい道具で安全に芽切りをします。
- 長年棒やすりで芽切りをしましたがホームセンターで見つけたホビーノコで芽切りをしたところ・・・
- 爪や指を傷つけずに出来た事
- 発芽の時に皮被りが少なくなった事
- 以上の事から三年前よりホビーノコによる芽切りをしています。(詳細は手引P.18)
- ※ホビーノコ使用のコツ!
種に対してホビーノコを挽くのではなくホビーノコは固定して種を手前に挽きます。深く入りすぎず双葉を傷めません。
個別播種の準備
播種の手順
発芽
小鉢上げの手順
小鉢期の抑制栽培
本鉢移植に向けて
一部配付資料を改変、省略したこと、ご了承ください。
関連項目
東京朝顔研究会ホームページ
行事案内
初心者のための大輪朝顔作り
本サイト内の記事、画像、デザイン、構成及び、構造等に関する著作権は本会に帰属します。
法律で許可された範囲を超えての無断転載、及び複製転載することを禁止します。
ログイン日時:
Copyright (C) 2013
東京朝顔研究会
初版:2013年6月16日