東京朝顔研究会 第一回大輪朝顔講習会(要旨) 直前のページに戻るボタン

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一、行灯作り 二、切込作り  

一、行灯(ラセン)作り(本蔓仕立て)、播種〜小鉢期 このページの先頭に戻るボタン 直前のページに戻るボタン

はじめに

 日比谷公園展示会に出品されている方の紹介。ホームページの紹介。

演者の作品・遠山氏の作品・森氏の作品

 小生の作品…入会前の作品(佐倉の桃)
 遠山氏の作品…当時高校生 1年目 蕾が大きい 肥料の時期と量に工夫
 森氏の作品…会報31p 酔紅24.6p 宝幸白王 葉が均一で小さい。葉に深い切れ込みがある。

植物が成長するにあたり必要なもの

栽培環境

種子について

芽切り

播種の時期

苗床を作る

播種前の作業

まき箱(トロ箱)の準備と播種

播種後の管理

小鉢移植の準備

小鉢の培養土の作成(自作培養土を作られる方へ)

小鉢のいろいろ

小鉢に盛る培養土及びその量

移植の手順

二重鉢

鉢回し

 根の発育に効果はある。

固形肥料

液肥

ビーナイン(ホルモン剤)について

補足


二、切込み作り 小蔓づくり(種蒔期から小鉢移植まで) このページの先頭に戻るボタン 直前のページに戻るボタン

切込み作りを上手に、葉小、花大に咲かせるためには

  1.  鉢を置く場所は、日当たり、風通しの良い高いところ
  2.  鉢と鉢の間隔を一鉢分以上空けるように作り場に合った鉢数を作ること
  3.  この講習会資料に書いてあることを忠実に守り、基本通りの作業をしてください
  4.  できの善し悪しを気にすることなく、とにかく展示会に出品することです(これが何より上達の早道です)

以下、講習会資料の重要ポイントを列記します

  1.  良い種の入手、選別
  2.  芽切りは丁寧に
  3.  種蒔き砂は良く水洗いすること
  4.  種蒔き箱の底穴は良く空気が出入りするよう多めに開けること
  5.  種蒔き砂は熱湯を掛け地温40℃位になったら種蒔きのこと
  6.  1.8cmの深さに種に蒔くこと
  7.  種蒔き後、即40℃のお湯を掛ける。鉢底から出たお湯は捨てること
  8.  蒔き箱上に新聞紙を載せて保温する
  9.  種蒔き後約2日間弱は蒔き砂が20〜25℃を保てるよう室内で毛布にくるんで発芽を待つこと
  10.  蒔き砂に割れ目ができ、盛り上がったら即太陽に当てること(天気予報を注視し、発芽日が晴天の日を見て種蒔きすること)
  11.  双葉が展開し始めたら、即、小鉢(3号鉢)に移植のこと(移植は合掌状態でも良い。遅れると根を傷める)

小鉢上げから本鉢定植まで

 小鉢上げ以降の作業は決して焦って作業しないこと
  1. 6月上旬小鉢上げ後、活着するまでの4〜5日間はぬるま湯をやって根と土を落ち着かせること
  2. 以後小鉢時代は本葉が一枚増えるのを目安に薄い水肥を与えること
  3. 6月中旬から6月下旬、根張りの良いガッチリとした締まった苗を作るため水やり時の水分量を加減し、夕方には鉢土が乾いて萎れさせられるかが最大のポイント
 本稿はある程度条件の良い作り場で日比谷展示会期に花を咲かせることを前提として、自分の過去の記録と諸先輩の指導書等を参考にしてまとめたものですから、天候によって多少生育や開花の時期がずれることもあります。また、栽培記録はメモでも日記風でも良いですから残しておくと来年の参考になります。

青葉と黄葉

 大輪朝顔の良い系統の品種は、1.青斑入蝉葉種と、2.黄斑入蝉葉種及び黄蝉葉種で、これを略して1.青葉(アフセ)、2.黄葉(キフセ、キセ)と呼んでいます。
 どちらも大輪性の美しい花が咲きますが、この二種は性質も栽培方法も異なりますので、これを取り違えると良い結果が得られませんから、念のために簡単な説明をいたします。

1.青斑入り蝉葉種(青葉:アフセ)

 主に朝顔の習性を生かした蔓づくりとします。7号鉢に定植して行灯支柱、ラセン支柱に巻き付かせて育てる方法で、とにかく大きな花を咲かせることを最大の目的としており、力作すると22〜25cmという巨大輪に咲きます。また蕾の数も多く着けられますので、長い期間楽しめます。
 青葉種は葉緑素が多いので、双葉も本葉も濃い緑色をしています。また生育も旺盛で草姿はたくましく、茎も太く花径も、葉も大きいのが特徴です。花は無地物が多いのですが、美しい色彩のものもあります。なお青葉種で、葉に斑の入っていないものは良花は得られませんので発見したら抜き捨てます。青葉系の中には一部矮性種があり、これを切込みに使っていますが数は少ないです。

2.黄斑入り蝉葉種、黄蝉葉種(黄葉:キフセ、キセ)

 青葉種に比較すると矮性で、強い生育力がないため伸びすぎることがなく、草姿が整えやすいので切込み作りに適しています。原則として本鉢は5号鉢を用いて、花は鉢の上に咲かせるようにします。全体的にこぢんまりと体裁良く盆栽風に作り、花、葉、鉢との調和の取れた作品が上等とされます。黄葉種は双葉、本葉とも黄緑色で青葉種と比べると優しく淡い感じなので少し気をつければすぐにわかります。花は縞、吹雪、吹掛など色彩に富み、美しく鮮明なものが多く大変鑑賞価値の高いものです。
(本会の分譲種子袋には、青葉は青色、黄葉は黄緑色で印刷され、それぞれ花銘と花色が明示されています。)

種が基本

切込み作り用青斑入蝉葉種(アフセ)

黄蝉葉種(キセ)

早咲き種

やや早咲き種

遅咲き種

参考 切込づくり主要品種

種の蒔き方と発芽

 図による説明
 よくない蒔き方
  浅すぎるもの → 皮かぶりになる恐れ
  へそが上向きなど向きが逆 → 根が土の上に出る恐れ
  へそが下向きでも斜め下になっている → 皮かぶりになる恐れ
  深すぎるもの → 胚軸が長くなりすぎる恐れ
 よい蒔き方
  へそが下を向き、斜め30〜40°で上に配置された置き方。深さは1.5〜2.0cmが適。

双葉の葉形
 葉の先端が丸みを帯び、切れ込みが浅い軍配型が大輪性。
 葉の先端が尖っていて、切れ込みが深いものは良花が咲く見込みが薄い。

小鉢上げの適期
 適期を過ぎた苗
  双葉が開いてから2〜3日後 側根がたくさん出ている。側根を切りやすく、活着が遅くなる。
 適期の苗
  双葉が合掌の頃  まだ側根が出ていない
  双葉が開いた直後 側根がわずかに出ている

種子蒔き時期と蒔き箱(小蔓作り)

 種子は切込み用の黄葉種を、5月25〜31日前後に蒔きます。一般に柄物が先で無地物は4〜5日後に蒔きます。蒔き箱は何でも良いのですが、発泡スチロールなどが保温に優れているので最適です。深さは10cmくらいが良く底に排水の穴を多めに空けて、用土を7〜8cmの深さに入れます。排水の穴があまり小さいと通気が悪くなって種子が腐ることがあります。

種まき用土
 砂100%か、砂70%+バーミキュライト30%
 砂は清潔な川砂を使います。良く水洗いをしてから使用してください。

種子の選別

 種子はふっくらとして形の良いものを選び、なるべく数多く蒔くようにします。できたら小鉢取り予定の3倍くらい。

芽切り

 種子の表皮の一部をカッターナイフなどで少し削り取る。胚の部分を避けてほんの少し、1〜2ヶ所で良い。
 種を揃って発芽させるために、芽切りをします。種の背中にカッター・爪切り・ヤスリ等で中の白いものが見えるくらい表皮を削ります。
 芽切りをしないと発芽が1〜2週間に及び管理が難しくなります。

蒔き方

 用土にたっぷりと高温の湯をかけて、少し冷めた頃、3〜4cm間隔に深さ1.8cm位の穴を空けて種子を蒔きます。
 このとき種子は腹を下にして胚の部分が高くなるようにします。花銘札を立てるのを、忘れずに。

種子蒔き後の管理

 蒔き箱を発泡スチロールの大箱の中に入れて新聞紙をかぶせてから外蓋をします。そして毛布にくるんで室内に入れ2日間はそのままにしておきます。3日目に開けてみて土が盛り上がっているようであればすぐ外に出して陽に当てます。曇っていても同様で、ひどい大雨の時だけ軒下に一時取り込み、昼も夜も戸外です。普通3日目に発芽が始まり、4日目には早いものでは双葉が合掌から展開を始めます。普通種子蒔き後5〜6日目に小鉢上げとなります。この期間蒔き箱にあまり水やりはしませんが、表面が乾いたらその部分に霧吹きで、温水を与えます。

苗の選別

 苗の選別は大切で、まずその品種本来のものかどうか茎や双葉の色をよく観察します。同種の中に一本だけ色が変わっていたら注意します。全体的には軸が太く双葉に丸みのある丈夫そうな苗を選びます。
 双葉の左右が多少不揃いでも円満な形のものは移植できますが、双葉の先が尖ったハサミ形や白子苗、双葉に斑の多い苗もだめですから抜き捨てます。選別が終わったら苗の横に花銘札を立てておきます。

小鉢への移植

 切込み作りでは三号の駄温鉢か黒ビニールポット鉢が適しています。
 鉢底にネットを入れ、培養土を少々入れておきます。苗はフォークや割り箸などを用いて周りから差し込んで、なるべく砂を落とさないように気をつけて鉢に入れて周りに培養土を入れます。このとき双葉は鉢縁より少し低いくらいにして、培養土は鉢の七分目くらいにします。はじめから培養土を入れておき、指で穴を空けて底に苗を入れて土を寄せても良く、その方がやりやすいです。最後に根が土になじむようにぬるま湯をたっぷり与えます。なお移植作業はいつでもいいのですが、直射日光の当たらないところで行います。活着するまでは根を乾かさないように注意する。

小鉢育苗期間

前期(10日間、6月上旬頃)

 朝顔づくりは育苗の小鉢時代が一番大切で、これに成功すれば、その年の作品はまず安心です。移植した小鉢は昼も夜も戸外で日当たりがよく、地面より最低1m以上の風通しのよい場所で育てます。また、なるべく鉢の間隔は空けるようにします。
 2〜3日は移植の時水をたっぷり遣ってあるので水やりはいりませんが、あまり日照が強く高温で土が乾いたら水をたっぷり遣っておきます。双葉のしわが伸びて活着する頃まではあまり水分を切らすと枯れることがあるからです。その後は晴れの日は1日30mLくらい水を与えますが、できたら午前9時頃がよいでしょう。小鉢移植後1週間くらいすると双葉の間から本葉が覗いてやがて展開しますから、その頃に1回目の水肥を施します。または本葉2枚目が展開してからでも遅くはありません。水肥はハイポネクス(青)6:10:5を2,000倍で与えます。水肥の量も30mLくらい、やっと鉢底にしみるくらいです。以後1週間に1回の割合でなるべく天気のよい日に与え、この日は水やりはしません。小鳥やカラスにいたずらされないように気をつけます。水やりの量は、天候や苗の育成に合わせて加減し育苗の最終期には1回60mLくらい与えることもあります。また高温晴天であまり萎れるようでしたら午後2時頃までに少し追加します。

中期(10日間、6月中旬頃)

 6月も10日過ぎになると気温も上昇して、時には30℃を超える夏日になります。また悪くすると雨続きで冷え込み、毎日ため息をつくようなこともあり、気苦労が絶えません。しかし朝顔は少しずつ根を充実させて生育が盛んになり、2〜3日好天が続くと急にしっかりした苗に生長します。この期間の水やり加減が勝負所でギリギリの所まで水分を抑制させてゆくと、根の生長が旺盛になり、徒長もせず、葉も肥大せず、病害に負けない良苗になります。この頃は日中暑さのため萎れることがあっても、夕方には回復して翌朝には元気になっていますから、ひたすら節水に努めます。と申しても水分ゼロにしては枯れますから、この辺が一番難しいところです。
 なお、鉢回しと知って根張りの偏りを防ぐため、鉢の向きを変えることをしてください。

後期(10日間、6月下旬頃)

 6月20日頃、本葉は4〜5枚になりますが、それより多くても少なくても構いません。要するに根が張ってガッチリと締まった苗になればよいのです。ヒョロリとして細く上に伸びてしまった苗は、たぶん日照不足と水の遣り過ぎです。水や肥料の与えすぎは控えると言っても、では雨はどうするかという問題があります。実は雨は育苗に大変良いのです。普段抑制して作っている苗は1日や2日の雨で徒長することはありませんし、またそのために水はけのよい培養土を使っているのです。葉は洗われてきれいになり、茎も太り不思議なことにこの時期の雨で根が急速に伸びてきます。人工的に与える水よりも、自然の雨の方が植物によいのでしょう。そういう次第ですから6月25日頃ためしに2〜3鉢抜いてみて、下の方まで根が回っていないようでしたら、意識的に水を多くします。6月中旬以後注意すべきは根焼けについてです。根が鉢の周辺にまで張ってきた頃急に高温晴天になったら危ないですから、水を多く与え土の温度上昇を防ぎます。
 育苗期間はおよそ30日くらいですが、根張りが不十分でしたらあと2〜3日で急速によくなることが多いですから、期日だからと思って慌てて定植しないことです。なお育苗期間中、病虫害の予防対策殺虫剤の散布を忘れないでください。

培養土20リットルの内訳

小鉢用土(行灯作り、切込み作り共同じ)

  1. 腐葉土      3.6
  2. バーク堆肥    4.0
  3. 赤玉土(小粒)  2.2
  4. 赤玉土(中粒)  2.2
  5. バーミキュライト 3.5
  6. ゼオライト    2.1
  7. パーライト    1.4
  8. 軽石(小粒)   1.6
  9. 籾殻くん炭    2.0
  10. 木炭       少々

簡単に作れる小鉢用土の配合例

  1. 腐葉土      3
  2. 赤玉土(小)   3
  3. バーミキュライト 3
  4. 軽石(小)    3
  5. 籾殻くん炭    1.2
 本鉢用土も小鉢用土と同じ配合(ただし、本鉢用土には元肥は絶対入れないこと)

小鉢用土20リットルに入れる元肥 成分比(N:P:K)

  1. IB化成肥料 20g     15:15 :15
  2. 熔りん    40g      0:20 : 0
  3. 過燐酸石灰  15g      0:16.5: 0
  4. 硫酸加里   10g      0: 0 :48

本鉢用土(切込み作り用)

 小鉢用土と同じ。ただし、元肥は入れないこと
 (注)培養土作成前に、籾殻くん炭以外は、全てふるいにかけて微塵を取り除き粒子を揃えるように心がけること

参考 本鉢用土の配合例

  1. 腐葉土      2
  2. バークたい肥   2
  3. 赤玉土(中)   3
  4. バーミキュライト 3
  5. 籾殻くん炭    1

水肥

A肥料(水10リットルに対して) B肥料(〃)
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盆養切込み作り作業カレンダー (小蔓作り)
柄物 無地物 防除作業
追肥の回数は本葉1枚増えるごとに、ハイポネックス(青)ラベル(6:10:5)2,000〜1,000倍液を施し、時々、水やり代わりにハイポネックス(赤)ラベル(0:6:4)1,000倍液を与える。小鉢期に肥料が少ないと双葉が落ちやすい。薄目の肥料を数多くやること。
5 28 種まき    
31   種まき  
6 3 小鉢に鉢上げ    
4 固形肥料2個、熔燐1つまみ    
5 オルトラン1つまみ 小鉢に鉢上げ  
6   固形肥料2個、熔燐1つまみ  
7   オルトラン1つまみ  
8 ハイポ青2,000倍30〜50mL    
10   ハイポ青2,000倍30〜50mL 殺虫剤散布
13 ハイポ青2,000倍30〜60mL    
15 ハイポ赤1,500倍30〜60mL ハイポ青2,000倍30〜60mL  
16     殺虫剤散布
17ハイポ粉2g/10L 軸を太くする ハイポ赤1,500倍30〜60mL  
18 ハイポ青2,000倍30〜60mL    
19   ハイポ粉2g/10L 軸を太くする  
20   ハイポ青2,000倍60mL ハチハチ乳剤散布
21 ハイポ赤1,000倍60mL    
22   ハイポ赤1,000倍60mL  
23 ハイポ青1,000倍60mL    
24   ハイポ青1,000倍60mL  
25 本鉢定植 定植後2日間肥料なし    
26 置き肥玉肥1g2個 ハイポ赤1,000倍60mL 殺虫剤散布
27   本鉢定植 定植後2日間肥料なし  
28 ハイポ青1,000倍100mL 置き肥玉肥1g2個  
30 ハイポ青1,000倍100mL ハイポ青1,000倍100mL  
注 ハイポ青:ハイポネックス原液(青)ラベル(6:10:5) ハイポ赤:ハイポネックス開花促進(赤)ラベル(0:6:4)  ハイポ粉:微粉ハイポネックス(6.5:6:19) 
 他の図表 省略(赤本参照のこと)

関連項目 東京朝顔研究会ホームページ   行事案内   初心者のための大輪朝顔作り   このページの先頭に戻るボタン 直前のページに戻るボタン
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 初版:2013年6月16日