種子は切込み用の黄葉種を、5月25〜31日前後に蒔きます。一般に柄物が先で無地物は4〜5日後に蒔きます。蒔き箱は何でも良いのですが、発泡スチロールなどが保温に優れているので最適です。深さは10cmくらいが良く底に排水の穴を多めに空けて、用土を7〜8cmの深さに入れます。排水の穴があまり小さいと通気が悪くなって種子が腐ることがあります。
種まき用土
砂100%か、砂70%+バーミキュライト30%
砂は清潔な川砂を使います。良く水洗いをしてから使用してください。
種子の選別
種子はふっくらとして形の良いものを選び、なるべく数多く蒔くようにします。できたら小鉢取り予定の3倍くらい。
芽切り
種子の表皮の一部をカッターナイフなどで少し削り取る。胚の部分を避けてほんの少し、1〜2ヶ所で良い。
種を揃って発芽させるために、芽切りをします。種の背中にカッター・爪切り・ヤスリ等で中の白いものが見えるくらい表皮を削ります。
芽切りをしないと発芽が1〜2週間に及び管理が難しくなります。
蒔き方
用土にたっぷりと高温の湯をかけて、少し冷めた頃、3〜4cm間隔に深さ1.8cm位の穴を空けて種子を蒔きます。
このとき種子は腹を下にして胚の部分が高くなるようにします。花銘札を立てるのを、忘れずに。
種子蒔き後の管理
蒔き箱を発泡スチロールの大箱の中に入れて新聞紙をかぶせてから外蓋をします。そして毛布にくるんで室内に入れ2日間はそのままにしておきます。3日目に開けてみて土が盛り上がっているようであればすぐ外に出して陽に当てます。曇っていても同様で、ひどい大雨の時だけ軒下に一時取り込み、昼も夜も戸外です。普通3日目に発芽が始まり、4日目には早いものでは双葉が合掌から展開を始めます。普通種子蒔き後5〜6日目に小鉢上げとなります。この期間蒔き箱にあまり水やりはしませんが、表面が乾いたらその部分に霧吹きで、温水を与えます。
苗の選別
苗の選別は大切で、まずその品種本来のものかどうか茎や双葉の色をよく観察します。同種の中に一本だけ色が変わっていたら注意します。全体的には軸が太く双葉に丸みのある丈夫そうな苗を選びます。
双葉の左右が多少不揃いでも円満な形のものは移植できますが、双葉の先が尖ったハサミ形や白子苗、双葉に斑の多い苗もだめですから抜き捨てます。選別が終わったら苗の横に花銘札を立てておきます。
小鉢への移植
切込み作りでは三号の駄温鉢か黒ビニールポット鉢が適しています。
鉢底にネットを入れ、培養土を少々入れておきます。苗はフォークや割り箸などを用いて周りから差し込んで、なるべく砂を落とさないように気をつけて鉢に入れて周りに培養土を入れます。このとき双葉は鉢縁より少し低いくらいにして、培養土は鉢の七分目くらいにします。はじめから培養土を入れておき、指で穴を空けて底に苗を入れて土を寄せても良く、その方がやりやすいです。最後に根が土になじむようにぬるま湯をたっぷり与えます。なお移植作業はいつでもいいのですが、直射日光の当たらないところで行います。活着するまでは根を乾かさないように注意する。
小鉢育苗期間
前期(10日間、6月上旬頃)
朝顔づくりは育苗の小鉢時代が一番大切で、これに成功すれば、その年の作品はまず安心です。移植した小鉢は昼も夜も戸外で日当たりがよく、地面より最低1m以上の風通しのよい場所で育てます。また、なるべく鉢の間隔は空けるようにします。
2〜3日は移植の時水をたっぷり遣ってあるので水やりはいりませんが、あまり日照が強く高温で土が乾いたら水をたっぷり遣っておきます。双葉のしわが伸びて活着する頃まではあまり水分を切らすと枯れることがあるからです。その後は晴れの日は1日30mLくらい水を与えますが、できたら午前9時頃がよいでしょう。小鉢移植後1週間くらいすると双葉の間から本葉が覗いてやがて展開しますから、その頃に1回目の水肥を施します。または本葉2枚目が展開してからでも遅くはありません。水肥はハイポネクス(青)6:10:5を2,000倍で与えます。水肥の量も30mLくらい、やっと鉢底にしみるくらいです。以後1週間に1回の割合でなるべく天気のよい日に与え、この日は水やりはしません。小鳥やカラスにいたずらされないように気をつけます。水やりの量は、天候や苗の育成に合わせて加減し育苗の最終期には1回60mLくらい与えることもあります。また高温晴天であまり萎れるようでしたら午後2時頃までに少し追加します。
中期(10日間、6月中旬頃)
6月も10日過ぎになると気温も上昇して、時には30℃を超える夏日になります。また悪くすると雨続きで冷え込み、毎日ため息をつくようなこともあり、気苦労が絶えません。しかし朝顔は少しずつ根を充実させて生育が盛んになり、2〜3日好天が続くと急にしっかりした苗に生長します。この期間の水やり加減が勝負所でギリギリの所まで水分を抑制させてゆくと、根の生長が旺盛になり、徒長もせず、葉も肥大せず、病害に負けない良苗になります。この頃は日中暑さのため萎れることがあっても、夕方には回復して翌朝には元気になっていますから、ひたすら節水に努めます。と申しても水分ゼロにしては枯れますから、この辺が一番難しいところです。
なお、鉢回しと知って根張りの偏りを防ぐため、鉢の向きを変えることをしてください。
後期(10日間、6月下旬頃)
6月20日頃、本葉は4〜5枚になりますが、それより多くても少なくても構いません。要するに根が張ってガッチリと締まった苗になればよいのです。ヒョロリとして細く上に伸びてしまった苗は、たぶん日照不足と水の遣り過ぎです。水や肥料の与えすぎは控えると言っても、では雨はどうするかという問題があります。実は雨は育苗に大変良いのです。普段抑制して作っている苗は1日や2日の雨で徒長することはありませんし、またそのために水はけのよい培養土を使っているのです。葉は洗われてきれいになり、茎も太り不思議なことにこの時期の雨で根が急速に伸びてきます。人工的に与える水よりも、自然の雨の方が植物によいのでしょう。そういう次第ですから6月25日頃ためしに2〜3鉢抜いてみて、下の方まで根が回っていないようでしたら、意識的に水を多くします。6月中旬以後注意すべきは根焼けについてです。根が鉢の周辺にまで張ってきた頃急に高温晴天になったら危ないですから、水を多く与え土の温度上昇を防ぎます。
育苗期間はおよそ30日くらいですが、根張りが不十分でしたらあと2〜3日で急速によくなることが多いですから、期日だからと思って慌てて定植しないことです。なお育苗期間中、病虫害の予防対策殺虫剤の散布を忘れないでください。
培養土20リットルの内訳
小鉢用土(行灯作り、切込み作り共同じ)
- 腐葉土 3.6
- バーク堆肥 4.0
- 赤玉土(小粒) 2.2
- 赤玉土(中粒) 2.2
- バーミキュライト 3.5
- ゼオライト 2.1
- パーライト 1.4
- 軽石(小粒) 1.6
- 籾殻くん炭 2.0
- 木炭 少々
簡単に作れる小鉢用土の配合例
- 腐葉土 3
- 赤玉土(小) 3
- バーミキュライト 3
- 軽石(小) 3
- 籾殻くん炭 1.2
本鉢用土も小鉢用土と同じ配合(ただし、本鉢用土には元肥は絶対入れないこと)
小鉢用土20リットルに入れる元肥 成分比(N:P:K)
- IB化成肥料 20g 15:15 :15
- 熔りん 40g 0:20 : 0
- 過燐酸石灰 15g 0:16.5: 0
- 硫酸加里 10g 0: 0 :48
本鉢用土(切込み作り用)
小鉢用土と同じ。ただし、元肥は入れないこと
(注)培養土作成前に、籾殻くん炭以外は、全てふるいにかけて微塵を取り除き粒子を揃えるように心がけること
参考 本鉢用土の配合例
- 腐葉土 2
- バークたい肥 2
- 赤玉土(中) 3
- バーミキュライト 3
- 籾殻くん炭 1
水肥
A肥料(水10リットルに対して)
B肥料(〃)
- 硝安 2.6g
- 2加里 0.8g
- 3加里 1.5g